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家づくり研究室

【知識】のぼりやすい階段の作り方|計算式、階段別のメリット・デメリットも

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

あなたは階段の設計に何かこだわりはありますか?



「のぼれたらいいや」
「カッコイイ階段にしたい」

こんなふうに、間取りの設計は熟慮しても、階段の「のぼりやすさ」については深く考えていない人が多いのではないでしょうか。階段は種類によって、のぼりやすさや安全性が異なるため「なんとなく」で選ぶのはNG。



今回は、階段の種類別のメリットやデメリット、計算式など、のぼりやすい階段について詳しくお伝えしますので、ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。

[目次]

1.階段は各部位のバランスが重要

2.のぼりやすい階段の特徴

3.バリアフリー階段の寸法は?のぼりやすい階段のヒントになる計算式

4.階段の種類とメリット・デメリット、おすすめの階段は

5.のぼりやすく安全な階段は作れる



階段は各部位のバランスが重要

住宅の階段は、階高(かいだか)と天井高に大きく左右されます。階高とは、1階の床から2階の床までの高さを指します。一方、天井高は床から天井までの高さです。1階の天井と2階の床との間には「懐」と呼ばれるハリや電線を通すためのスペースがあるため、階高から懐を引いた高さが天井高ということになります。



階高が高ければ、階段の段数が増えたり1段あたりの高さ(蹴上げ/けあげ寸法)が大きくなったりします。また、階高が低ければ天井高はさらに低くなるため圧迫感が生まれます。適切な階高と天井高を設定し、蹴上げ、蹴込み(けこみ)、踏面(ふみづら)それぞれの寸法をバランスよく設計することで、のぼりやすい階段が実現するのです。



のぼりやすい階段の特徴

のぼりやすい階段とは具体的にどんな階段なのか、主な4つの特徴をチェックしてみましょう。



踏面が広い

足を置く面(踏面/ふみづら)が広いと階段はのぼりやすくなります。階段の横幅は、手すりを除いた有効寸法75~78cmが一般的ですが、メーターモジュールを用いて85~87cmにすると、ゆとりができて階段の途中で人とすれ違っても窮屈に感じにくくなります。踏面寸法(奥行き)は、公共施設では最低26cm以上、住宅では最低15cm以上と定められています。

また、のぼりやすい階段には蹴込み(けこみ)をつくることも大切。蹴込みとは、踏み板の出っ張った先端部(段鼻/だんばな)によってできる奥行きを指します(前項の図)。蹴込みが全くない階段はのぼりにくさを感じますが、蹴込みが大きすぎる場合も足が引っ掛かりやすくなってのぼりづらくなるため、蹴込み寸法は3cm以下にしましょう。



1段が高くない(理想は1段20cm)

幼児や高齢者、小柄な人が上り下りしやすい1段の高さ(蹴上げ寸法)は20cmが理想です。階段の基本的な段数は13段で、例えば階高(1階の床~2階の床までの高さ)が3m、段数が13段の場合、1段分の高さは約23cmになり、ここから階高を7cm低くすると1段21cmになります。理想的な蹴上げ寸法の20cmと比べると、わずか2~3cmですが、この差がのぼりやすさを左右します。天井高を一般的な2400mmから2800mmまで引き上げて段数を14段にするか、もしくは階高2600mmの13段にすれば、のぼりやすい1段20cmの階段を実現できます。



真四角の踊り場がある

階段のコーナー部分を斜めにカットした階段は、足を置く面が三角形になってコーナー内側の面積が極端に小さくなるため、踏み外しの危険が高まります。安全のために真四角の踊り場を設けることをおすすめします。踊り場があると、階段の上り下りの途中で一息ついたり、家具の運搬時に旋回できたりと使い勝手がよくなります。万が一足を滑らせたときにも1階まで落下するリスクを軽減できます。



手すりやスリップ防止加工がある

階段に手すりやスリップ防止加工があると、もしものとき安心です。ただし、足が上がりにくい人にとってはスリップ防止加工がかえって転倒の原因になることもあるため、足の状態に合わせて検討してください。



バリアフリー階段の寸法は?のぼりやすい階段のヒントになる計算式

子どもや高齢者などみんなが使いやすいバリアフリー階段はどのような設計になっているのでしょうか。それには基準となる計算式があります。

(蹴上げ寸法×2)+踏面寸法=55~65cm



例えば、蹴上げ寸法を20cmとした場合、踏面寸法は15~25cmになります。大人の足の大きさを考えると踏面寸法は20cm以上あったほうがのぼりやすいでしょう。公共施設では蹴上げ寸法18cm以下と定められており、蹴上げ寸法18cmの場合、踏面寸法は19~29cmになります。ぜひ、いま住んでいる家の階段の寸法で計算してみて、のぼりやすい階段の寸法について考えてみてください。



階段の種類とメリット・デメリット、おすすめの階段は

階段の種類は主に3つあり、直階段・L字型階段・U字型階段に分けられます。それぞれのメリット、デメリットを考慮して自分に合う階段を選びましょう。



■直階段

【メリット】
•直線的で見通しがよく、上り下りしやすい
•限られたスペースでも設置しやすい
•施工が簡単でコストが低い



【デメリット】
•急な傾斜になりやすい
•転倒すると1階まで転げ落ちてしまう可能性が高い



【こんな人におすすめ!】
直階段は狭小住宅などスペースが限られている家に最適。傾斜がきつくなりがちなため若い夫婦など階段の上り下りがラクにできる人や、シンプルなデザインを好む人におすすめです。



■L字型階段

【メリット】
•コーナーがあるため1階まで転落するリスクが少ない
•コーナーに踊り場を作りやすく、ひと息つける



【デメリット】
•広めのスペースが必要になる
•直階段よりもコストが高い



【こんな人におすすめ!】
L字型階段は直階段よりも多くのスペースを必要とするため、広い家に向いている階段です。直線的でシンプルなデザインの直階段に比べて、L字型階段はアクセントになり空間に変化をつけることができます。コーナーがあることで1階まで転落するリスクを軽減できるため、幼いこどもや高齢者などがいる家庭におすすめです。



■U字型階段

【メリット】
•直階段やL字型階段に比べて、転落時のリスクが最小限になる
•傾斜を緩やかに作りやすい
•折り返すデザインのためコンパクトなスペースでも設置できる



【デメリット】
•構造が複雑でコストが大きい
•コーナーで180度方向転換するため、家具の搬入がラクではない



【こんな人におすすめ!】
U字型階段は、幼いこどもや高齢者がいて安全性を重視したい人に最適です。また、U字に折り返すデザインによって距離が長くなることで傾斜を緩やかに調整しやすいため、年をとっても1階と2階を行き来したい人にもおすすめです。



のぼりやすく安全な階段は作れる

階段は種類によって安全性が異なり、踊り場の有無や寸法によってのぼりやすさは大きく影響されます。のぼりやすさを考慮してない階段は、転落時にケガのリスクが上がることに加え、年齢を重ねたときに階段の上り下りが負担となって1階だけ、2階だけで生活するようになってしまう可能性があります。決して階段の設計を軽視せず、安全性が高く使い勝手のよい階段を作ってくださいね。



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