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家づくり研究室

【知識】60年保証に潜む落とし穴。その仕組みとは

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

家を建てた後、60年という長期にわたり保証があると安心感が大きく、メンテナンスの手間も軽減できそうで、とくに損はないような印象がありますよね。しかし、その中身は想像とは異なり、十分に精査しないまま飛びつくことはとてもリスキー。大きな後悔をしないために「60年保証」の仕組みを知っておきましょう。

[目次]

1.60年保証と10年保証は別物!その仕組みは

2.大手ハウスメーカーのクローズド工法に潜む大きなリスク

3.過剰に手をかけなくても家は60年維持できる

4.住宅の寿命を揺るがすのは結露。地盤も要注意

5.長期保証の利用は慎重に。優先すべき3つのポイント



60年保証と10年保証は別物!その仕組みは

新築住宅には「10年保証」というものがあります。これは住宅の品質確保に関する法律に基づく制度で、家の構造、防水機能に欠陥や不具合が生じた場合、会社の規模に関わらず施工会社は補修を無償でおこなう義務があります。この「無償の10年保証」と「60年保証」は全く異なるものです。



10年保証の期限が切れる頃、保証を延長するかを問われます。そこで「60年間保証してほしいので、とりあえず、もう20年延長します」と契約をすると、まず家の検査をおこないます。家は10年間で大なり小なり何らかの不具合が生じています。コーキングの割れ、塗装のはがれ、防水塗膜の劣化など、これらの修理は有償でおこなわれます。



この「検査と有償工事」をもって保証を延長する、というのが長期保証の仕組みです。再度延長するときも同様に検査と有償工事が必要になります。この20年の間に5年、15年のタイミングで検査を実施する会社もあります。また、保証には「自然災害による建物の損壊は保証の対象外」などの免責事項が定められているため、内容をよく確認することが必要です。



このように、60年保証のような長期保証には厳しい制約があると認識しておきましょう。



大手ハウスメーカーのクローズド工法に潜む大きなリスク

60年保証を売りにする会社の多くはプレハブ住宅を扱う大手ハウスメーカーです。プレハブ住宅とは工場で部材を生産、加工、事前組み立てをおこない現地で構築する家で、クローズド工法により建てられます。クローズド工法は独自技術を用いた工法で、大手ハウスメーカー各社の企業秘密ですから情報は公開されていません。



クローズド工法に対して、構造図や施工図などの情報が公開されているのがオープン工法です。町の工務店が手掛ける在来木造住宅はオープン工法によるもので、情報をみればどのような施工がされているかわかるため、家を建てたときとは別の施工会社が手を加えることが可能ですが、クローズド工法はそうはいきません。クローズド工法は施工したハウスメーカーしか詳細を把握していないため、別の会社に補修を依頼することが難しいのです。



また、補修にかかる金額が妥当なものかどうか他社と比較したいと思っても、情報が公開されていないクローズド工法は見積もりの内容を比較しようがありません。「他社と比べて高額ですね」と伝えても「他社にはない独自技術でやっていますから」と返答されるでしょう。その点、オープン工法で建てられた家であれば相見積もりをとって比較検討できます。



クローズド工法で家を建てるということは、補修やメンテナンス、リフォームなど家に関わる工事はすべて、家を建てたハウスメーカーに頼るしかなくなるということを知っておきましょう。



過剰に手をかけなくても家は60年維持できる

60年保証では短いスパンで大なり小なり有償工事をおこなう必要がありますが、実際のところ、そこまで頻繁に手を入れずとも家は維持できます。悪質な施工会社に当たらない限りは、30年程度は手を加えなくてもとくに問題ないでしょう。30年以上経過して補修をすることになっても大金をかける必要はありません。過不足のないメンテナンスをしておけば、家は60年維持できます。それほど日本の家の品質は上がっているのです。



住宅の寿命を揺るがすのは結露。地盤も要注意

家の寿命を縮める大きな要因は結露です。結露は壁や骨組みなど、家を内側から傷めるため、対策はしっかりと施しておかなければなりません。ただ、結露に関して十分にカバーできる60年保証は今のところありません。10年保証と同様に60年保証も免責事項が定められているため「60年保証だから安心」と考えず、保証内容が適当か見極めなくてはなりません。



加えて注意したいのが地盤です。欠陥や不具合に関する保証を補填する瑕疵担保保険は、家の基礎や屋根といった躯体が対象で、基礎の下にある地盤は含まれていません。しかし、基礎の大きなトラブルは、地盤の不同沈下などの地盤トラブルが起因となることが多々あります。「保険があるから大丈夫」と油断せず、地盤保証のことまで考えておかなければなりません。



地盤トラブルが原因で建物に問題が生じた場合に保証される地盤保証制度は、保証機関に加入している施工会社を通して利用できます。保証内容は加入する保証機関によって異なるため、詳しい保証内容は施工会社に確認する必要があります。そもそも、未加入の施工会社では保証を受けられないため、施工会社を決める際のひとつの指標にするとよいでしょう。



長期保証の利用は慎重に。優先すべき3つのポイント

60年保証のような長期保証サービスは一見すると魅力的な印象を受けますが、実際の利用には保証内容を慎重に精査する必要があります。長期保証よりも優先すべきことは、



① 免責事項
② オープン工法/クローズド工法
③ 地盤保証

家づくりの際はこの3点の確認を怠らず、お金をかけるポイントを見誤らないようにしましょう。



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