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家づくり研究室

【間取り】トイレの位置で間取りの自由度は変わる

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

家の間取りを考えるとき、トイレの配置はいつ、どのように決めるべきでしょうか。多くの方にとってトイレの配置は優先順位が低く後回しになりがちで、なかにはトイレのことをすっかり失念してしまう方もいます。



実はトイレの配置こそ家づくりの初期から考えておくべきことで、間取りの自由度にも影響します。ずばり、トイレの配置決めの成功のカギは「先入観を捨てること」。これから間取りを考える方や今まさにトイレの配置を後回しにしている方は、ぜひ本コラムをお役立てください。

[目次]

1.トイレの配置とメリット、デメリット

2.トイレは使い勝手だけでなくヒートショックのリスクも考慮しよう

3.トイレに窓は必要?

4.先入観を捨てれば間取りはもっと自由になる



トイレの配置とメリット、デメリット

トイレは配置によってメリット、デメリットもさまざまです。主な配置6パターンについて詳しくみてみましょう。



玄関付近
玄関付近にトイレを作るメリットは、家を出る直前や帰宅後すぐにトイレに行けることです。家を出るとき、最後にもう一度トイレに行っておこうという人は少なくないでしょう。小さなこどもは帰宅後に急いでトイレに駆け込むこともありますよね。



また、来客にトイレを貸しやすいというメリットも。トイレがリビングに近いと音漏れやニオイ漏れがお互いに気になりますし、トイレが家の奥にあると家中片づけておかなければと気が張ってしまうこともあるかもしれません。玄関付近にトイレがあると、来客があっても最低限の動線で済みます。



デメリットは冬にトイレが寒くなりやすいことです。家の中でも玄関は気温が低くなりやすい場所で、断熱性や気密性など家の性能が高くない家はとくに冷えやすいです。入浴中だけでなくトイレでヒートショックを起こして倒れる方もいるため、暖房器具の設置などの対策をすることが望ましいでしょう。



リビング付近
過ごす時間が長いリビングから近い位置にトイレがあると、気軽にトイレに立てるというメリットがあります。「そんなこと当たり前でしょ!」と思われるかもしれませんが、動線は想像以上に人の行動に影響を与えます。トイレの場所が遠くて面倒に感じ、トイレを我慢した経験がある方もいるのではないでしょうか。加齢や病気で体が不自由な方にとっても、トイレまでの距離が短ければ体の負担を軽減できます。また、リビングに近いことで冬でもトイレが寒くなり過ぎず、ヒートショックのリスクを下げることができます。



デメリットはリビングに音やニオイが漏れてしまう可能性があることです。トイレを使う人が気をつかってしまうのはもちろん、リビングにいる人も不快に感じてしまうかもしれません。リビングで食事をする場合、とくに大きなデメリットといえるでしょう。



脱衣所付近
脱衣所のそばにトイレがあると、小さなこどもがトイレで失敗してしまったときにすぐ脱衣所や浴室に移動できるというメリットがあります。介護をしたり、されたりするときにも便利なシーンがあるでしょう。また、脱衣所はリビングから離れている場合が多いため、音やニオイ漏れの不安が軽減されます。他にも、水回りをまとめることで初期費用が抑えられたりメンテナンスがしやすいというメリットも。



デメリットは来客時の動線です。脱衣所は家の奥に配置されていることが多いため、客人を家の奥まで通すことに抵抗がある方もいるでしょう。また、脱衣所や浴室は冬に冷えやすい場所のため、トイレも寒くなると考えておきましょう。



寝室付近
夜中にトイレで起きてしまう方や朝起きてすぐにトイレに行く方にとって、寝室のそばにトイレがあると便利で安心感もあるでしょう。高齢になると夜間のトイレの回数が増える傾向にあるため、将来的なメリットもあります。



デメリットは、寝室に近いが故に他の就寝中の家族を起こしてしまう可能性があることです。また、来客時は寝室のそばまで人を通すことになるため抵抗がある方もいるでしょう。



階段の下
階段下のトイレのメリットは、デッドスペースを有効活用できることです。また、階段は生活動線に沿って配置されているため、トイレの配置としてもちょうどよいでしょう。



デメリットは、階段下のスペースのためトイレの天井が低くなりやすいことです。高身長の方は使い勝手が悪いと感じる可能性があり、空間に圧迫感もでるでしょう。広さによってはトイレ内に収納スペースを設けることも難しくなります。



浴室と一体型
浴室とトイレが同室の場合、それぞれが独立している場合より省スペースになったり、間口が広く車椅子が入りやすかったりといったメリットがあります。また、タイルなどを使って海外風のおしゃれなバスルームに仕上げることもできるでしょう。



しかし、浴室とトイレが同室ということは、トイレを使用中は他の人が浴室を使えないということです(その逆も然り)。加えて湿気がたまりやすいため、トイレットペーパーなどの保管にも気を使うでしょう。また、同室にすることで省スペースになる一方で、それぞれが独立している場合よりも空間は広くなるため、冬は浴室もトイレも冷えやすくなります。来客にトイレを貸す際には浴室を見られてしまうことも想定しておかなければなりません。



トイレは使い勝手だけでなくヒートショックのリスクも考慮しよう

トイレの配置には一長一短がありますが、注目すべきは「トイレが冬に寒くなりやすい場所に配置されやすい」という点です。浴室同様にトイレはヒートショックのリスクが高い場所であるにもかかわらず、部屋を適切な温度に保つことに気を配っても浴室やトイレの室温はあまり気にしていない方が多いのではないでしょうか。トイレの配置を考えるときには動線や使い勝手だけでなく、冬に温度差が大きくなりにくい場所を選ぶことが健康を守る上では望ましいでしょう。



トイレに窓は必要?

では、なぜトイレは冬に寒くなりやすい場所に配置される傾向があるのでしょうか。その大きな理由のひとつが「窓」です。



戸建てのトイレには高確率で窓があります。昔のトイレは汲み取り式でニオイが溜まりやすい構造だったため、トイレに窓が必要不可欠でした。その慣習は今も強く残っています。実家や親戚の家、友人の家などを思い返してみてください。大抵はトイレに窓が設けられているのではないでしょうか。トイレには窓が必要だと決めつけてしまうと、トイレの配置はおのずと外壁側になり、間取りに少なからず制限が出てきてしまいます。外壁側で窓も設置すると、当然冬のトイレは冷えるためヒートショックのリスクが上がります。



しかし、トイレに窓は本当に必要でしょうか。マンションの場合、トイレに窓がない方が一般的です。戸建てのトイレも換気設備が整っていれば何の問題もないのです。その代わり、外に通ずる窓ではなく、廊下から採光をとれる明かり窓の設置をおすすめします。窓がないということは、扉を閉めるとトイレの中は照明がオンの状態でなければ昼夜問わず真っ暗になってしまいます。明かり窓があるとそれが軽減されますし、窓がない閉塞感も和らげることができます。



先入観を捨てれば間取りはもっと自由になる

家づくりにおいてトイレの配置は二の次になりがちで、これまでの生活環境などから「トイレはここにあるべき」という個人の考えもあります。また、トイレのスペースは一畳分が目安といわれますが、タンクレストイレの場合はコンパクトなのでそこまでのスペースは不要です。



このような先入観を捨てれば間取りの自由度は格段にあがります。トイレの配置は、後回しにするのではなく家づくりの初期からしっかりと考えておく。そうすればより満足度の高い家づくりができるでしょう。



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