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住宅会社を決める前に土地を購入すると失敗するって本当ですか?

住宅会社と土地、どちらを先に決めたら良いのかというご相談です

【ご相談内容】

半年くらい前から家づくりを考えていて、ネットで土地や住宅関連の情報を見ています。ある記事の中で、「土地が先に決まってしまい、そのあとから住宅会社を決めるのに時間が短すぎて失敗した。急いで決めるしかなかったので、とても後悔している」という人のエピソードが書いてありました。私も土地選びや家づくりは初めてなもので、どのような順序で進めていけば良いのか分かりません。家を建てるなら土地が無いと建たないという簡単な考えで、今までは土地情報を検索していたのですが、家を建ててもらう会社より、土地が先に決まってしまったら、本当に失敗するのでしょうか?

このご相談に、

チームフィックス広報部

RAS(ラス)父さんがお答えします!

土地選びから家づくりを進める方で、「土地が無ければ家を建てられないから、建物の話しは後でいい」と聞くことがあります。

確かに家を建てるには土地が必要ですから、あながち間違っているとは言えません。しかし建築を依頼する会社が全く決まっていない状態で、土地購入の話しが進んでしまうと、そのしわ寄せは土地の契約後に現れてきます。

ご相談者さまの読まれたネット上の意見は、本当なのか? そしてなぜ土地が先に決まったことで慌てることになったのか? について、プロの視点から解説をさせていただきます。

不動産業界特有のスケジュールが存在する!

多くの方にとって、人生の中で不動産(土地)を購入する機会というのは、商売でもしていない限り、そう何度もある訳ではないはずです。また不動産取引は、普段の買い物の額に比べて、非常に高額なお金と権利(所有権)のやり取りになります。そのため、これまでの長い歴史の中で慣例化されてきた、不動産業界特有のスピード感というものが存在し、それに沿って取引が行われることにより、一般の方々にとっては理解しがたい「早さ」となって現れます。

今回のご相談者さまが読まれたネット上の意見は、まさにそれに当てはまるものと推測します。

1.土地決済期日は売主側の意向を重視して決定する場合が多い

では具体的に、どのようなスピード感なのかというと、例えば単純に契約日から2か月で取引を完了するという内容で契約(ケースバイケースのため、必ずしもこの通りでない場合もあります)してしまうというものです。


あまりイメージできないかも知れませんが、プロである不動産業者から、「ご契約からご決済(土地代金の全てを支払う期日)までの期間は通常、2か月以内ですから、今回もそれでお願いしますね」と言われてしまうと、一般の方であまり不動産購入の経験が無い方でしたら、ほとんどは「分かりました」と返事をされることでしょう。なぜなら、契約後に何をどのような順番で行い、それぞれにどのくらいの時間を要するのかの見当がつかないため、「通常」(みんながやっている)がその期間なら大丈夫なんだろうと考え「分かりました」と答えるしかないからです。


完成物件(「完成」とは、土地がすぐにでも引き渡せる状態であることを指す)の場合、売主側はいつでも買主側に土地を引き渡す準備が出来ていることがほとんどです。決済日までの期間は、どちらかと言えば売主側が、買主側の住宅会社の決定や住宅ローンの段取り(代金の支払う準備)が整うのを待つ期間になります。

売主側の思いを分かりやすく言えば、「契約したのだから、早く代金を支払って欲しい」という気持ちです。逆に買主側は、「準備が整うまで待って欲しい」という気持ちです。


このように売主側と買主側で、相反する気持ちがあるため、間に立つ仲介業者は、買主側に急いで準備を進めてもらえれば、何とか間に合う期間として、約2か月という期間を経験の中で慣例としてきた訳です。この2か月の中で、買主側は急いで準備を整えていくことになります。

2.土地契約後から決済日までに、何をしなくてはならないか?

ここでは、家を建てる住宅会社が決まっておらず、且つ土地(建築条件なし)購入費用から建物費用や諸経費まで、全てを住宅ローンで支払うという例をもとに、あくまで一般的な流れと、やるべきことを時系列で並べてみました。分かりやすいように、土地契約(1月1日)から土地代金の支払い(決済期限:2月28日)の2か月間とします。(曜日は割愛します)


1月 1日:不動産売買契約(土地契約)を締結。急いで住宅会社を決めるために動き始める。

(1月1日~1月31日の約1か月間で、住宅会社を選定し、間取りや仕様、建物費用の確認及び、住宅ローンの借入が可能かどうか、銀行で事前審査をしてもらわなければなりません。この期間が非常に厳しいスケジュールになります)

2月 1日:建築を依頼する会社を決定し、契約する意思を伝える(工事請負契約をするためには、書類の準備等、せめて1週間ほど前には住宅会社へ契約の意思を伝えておく必要があります。間取りと見積が決定した当日に、いきなり契約は出来ません

2月 7日:建築を依頼する住宅会社と、工事請負契約を締結しなければならない期限(住宅ローンの本申込のためには工事請負契約を済ませておかなればなりません)

2月 8日:住宅ローンの借入金額を決定し、借入予定銀行へ住宅ローンの本申込を行わなければならない期限(住宅ローンの本申込には、不動産売買契約書と工事請負契約書のコピーも必要になります。またローン審査結果が出るまでには、1週間ほどの時間がかかります

2月15日:借入予定銀行から、住宅ローンの本承認をもらわなければならない期限。

2月28日:住宅ローンで借りたお金で、売主へ土地代金の全てを支払う期限。


文章では書ききれない、細々とした準備やお手続きは他にもありますが、全てを書き出すとキリがありませんので、大事な部分だけを抜粋して書いてみました。

今回のご相談者さまの読まれたネットの意見は、「不動産売買契約(土地契約)から、住宅会社の決定するまでの約1か月間が短すぎて、自分たちの希望する住宅会社を選ぶ時間が少なく失敗した」という意味だと推測できます。みなさんは、この1か月間という時間を、どのようにお考えになるでしょうか?

土地代金を現金で支払える貯金をお持ちなら急ぐ必要はないのですが、多くの方は土地購入資金を住宅ローンで準備されます。急ぎたくはないのですが、急がざるを得ない状況になってしまうのです。

3.1か月程度で住宅会社の選定は可能なのか?

結論から申し上げて、「不可能」だとは言いません。しかし最初から意中の住宅会社があるならまだしも、有名な大手のハウスメーカーの名前くらいなら知っているという程度では、1か月という短い期間の中で、一生に一度の家づくりを任せるに値する会社を見つけ出すのは、限りなく不可能に近いと言わざるを得ません。

なぜなら、いくら一生に一度の家づくりとは言え、みなさんには仕事や家事に育児など、いつも通り普段の暮らしがあります。朝から晩まで家づくりのことばかりを考えている訳にはいきません。私が実務の中で経験する限り、毎週末にお会いできたとしても、わずか4週です。2社~3社に話を聞いてから決定したいと思う方が多いと思いますが、この短い時間の中では、それも叶いません。


実際に、今回の事例のような状況で、過去にフィックスホームにご相談へお越しになったお客さまが何組もいらっしゃいます。その度に、これまで解説したような内容をお話しすると、どのお客さまも顔が真っ青になり、「こんなことなら、土地を決める前に相談にくるんだった」と後悔されています。


このような理由から、フィックスホームでは土地選びと同時進行で、住宅会社の検討をおススメしています。そして希望の土地が絞られてきた段階で、建築を依頼する会社を先に決定し、その住宅会社の担当者と一緒に、本当にその土地に建築をした時には、どのような家が建てられるのか、他にどんな費用がかかるのか、家づくりの総予算はどのくらいになるのかなど、総合的に判断できる材料がそろった上で、土地の購入に進んで行くという流れを推奨しているのです。


文章では分かりにくい部分が多いと思います。

これを機会に、土地選びから住宅会社の選定スケジュールについて、研究するきっかけにしてみてはいかがでしょうか?



何かご不明な点がありましたら、遠慮なくご相談ください。