トップページ > 屋上バルコニーを設置しても、雨漏れの心配はないのでしょうか?

屋上バルコニーを設置しても、雨漏れの心配はないのでしょうか?

屋上バルコニーのメリットとデメリットに関するご相談です

【ご相談内容】

先日、ある新規分譲地で開催されていた内覧会に行きました。その時に見せてもらったお家に、屋上バルコニーがありました。担当者のお話しによると、近所に気を遣わずにアウトドア(BBQなど)で楽しめたり、洗濯物を干せて、とても便利だと聞きました。妻は洗濯物を干せる場所という部分に気に入ったようでしたが、私は雨漏れのことが心配になりました。そこで担当者に質問をすると、「屋上バルコニー専用の工事を施しているので心配は不要です」と教えてもらいましたが、本当に雨漏れなどの心配はないのでしょうか?

このご相談に、

チームフィックス広報部

RAS(ラス)父さんがお答えします!

せっかく注文住宅で家づくりをするのだから、人とは少し違ったことがしたいと誰もが思うのではないでしょうか?

特に住宅地などで家を建てる時には、思うように庭が取れないため、プライバシーを気にせず洗濯物を干したり、プライベートを守りつつBBQがしたいと思う人も多いかも知れません。


そこで今回は、近年、一部の住宅会社で採用されている「屋上バルコニー」について、建築のプロ目線で、メリットとデメリットについて解説をしていきたいと思います。

1.そもそも屋上バルコニーは必要なのか?

屋上バルコニーの肯定派には大変申し訳ありませんが、個人的見解では屋上の設置はお勧めしていません。なぜなら屋上にバルコニーを設置することは、家づくりにおいてリスクが高すぎるからと考えるからです。

家づくりにおいて屋上バルコニーを設置するということは、ご相談者さまも言われているように、雨漏りのリスクがグンと高くなることを、よく理解しておくべきです。

一般的な瑕疵保険での保証は10年程度。保証が切れてしまえば全て実費でまかなわなければなりません。屋上を設置するのには安く見積もっても、100万円前後の費用が必要ですし、広い屋上を・・・となるとそれだけ費用もかさみます。それに伴って雨漏りのリスクも高くなります。

普通に考えても、切妻や寄棟、片流れのような降った雨を屋根勾配によって樋へ流していく屋根形状に比べ、雨を全て受け溜めてから樋へ流していく屋上バルコニーのような形状は、樋をどのように設けようが、溜まった雨水を完全に流しきることはできません。

2.屋上バルコニーのデメリット

家を建てた直後は大丈夫かもしれませんが、年数が経つにつれて必ず後悔することになるので木造住宅での屋上バルコニーの設置はやめた方がいいでしょう。木造住宅は構造上、屋上バルコニーの設置には向いていないと言えるからです。

木造住宅での屋上バルコニーの設置は、木材が少しずつ腐食し最終的にメンテナンスだけでは、どうにも維持できなくなります。具体的には雨漏りによって柱や梁が腐り、最終的には建物の構造上なんとか建っていられるような状態になるからです。恐ろしいことに専門家やフランチャイズチェーンの中には、それでも屋上バルコニーの商品化を進め、木造住宅での採用をすすめる住宅会社や不動産業者もいます。私には考えられません。

どんな優秀な施工業者さんに頼んでも、屋上バルコニーの設置は、雨漏りのリスクを常に抱えることを理解しなくてはなりません。

また屋上バルコニーを設置することで、本来、住宅が備えているはずの屋根の役割が失われることも忘れてはいけません。その役割とは、1)防水性(先ほどからお伝えしているように、屋根は雨風から家を守る役割)、2)断熱性(屋根は、夏の強い日射や冬の放射冷却から家を守る役割)、3)通気性(屋根は室内の熱を外へ放出する役割)です。

屋上バルコニーを設置する場合は、この3つの役割を失うことを承知の上で検討しなければなりません。

3.屋上バルコニーのメリット

屋上バルコニーのデメリットばかりでなく、メリットもお伝えしておきましょう。ご相談者さまもおっしゃるように、最近では庭の取れない家も多く、そんな地域ではプライベートを守りつつ、家庭菜園や子どもたちと一緒にプールで楽しんだり、夜空の星を見ながらゆっくりと過ごすという、お金では買えない楽しみ方ができます。

屋上バルコニーを設置するための初期コストや維持費も含めて、それも計算のウチと考えることができるなら、屋上は非常に満足度の高い設備になることでしょう。使わなくなった屋上バルコニーはデメリットだけが目立ってしまいますが、最初だけでなく、家族が集えるセカンドリビングのような使い方を続けることで、より多くのメリットを感じることができるでしょう。


これを機会に、ご家族にとってのより良い敷地利用の方法と、屋上バルコニーについて、研究するきっかけにしてみてはいかがでしょうか?


何かご不明な点がありましたら、遠慮なくご相談ください。