例えば、日射取得や日射遮蔽は、その家に住むオーナーさまにも手伝ってもらい、しっかりと自然の力も活用するということが大切ですし、家の中の空気の流れる通り道を確保することも重要になってきます。不要な間仕切りを減らし、共用できるスペースには、出来るだけ扉を付けずに、空気が流れやすくすることも工夫の一つになります。



そこで今回は、効率的な家じゅうの冷暖房計画と、いつでも家族の気配を感じる空間のつながりを大切にしたいというご夫婦の理想とする暮らし方を融合した、可能な限り扉を付けない暮らし方を実現する間取りをご紹介したいと思います。



いくら扉の少ない間取りとは言え、冷暖房計画を考える時、最低限の扉は必要になります。特に玄関は、人の出入りが多いため、外気温の影響を受けやすい場所になります。そこで玄関ホールは、雪の多い地域で見られる風除室のような役割をしてもらうため、廊下とシューズクロークの入り口には扉を設けることにしました。圧迫感を軽減するために、廊下側の扉はハイドアに。



またシューズクロークは、通り抜けられるようにしたいというご要望があったため、来客時などにシューズクローク内が見えないよう、ロールカーテンを設置する計画です。



廊下からリビング、洗面スペースへの通路は全ての扉を無くして、必要に応じてロールカーテンを使用する計画にしました。扉を無くすことで、リビングに設置する床下エアコンからの暖気が、廊下や洗面スペースにも届きやすくなります。



扉を付けない部分は、開口部分となりますが、垂れ壁を設けず天井までのフル開口にすることと、リビングからは出来るだけ直線的に見えないように、適度に壁を配置して、目隠しになるように工夫してあります。



更に奥へ進むとランドリー室があるのですが、こちらも扉は無しにして、必要に応じてロールカーテンを使用する計画です。「ランドリー室には扉があってもいいんじゃないのか？」と思われるかも知れませんが、来客が無い時は、ランドリー室もワンフロアでつながっていると、洗濯物も乾きやすいですし、冬場の湿度対策にもなります。



間取りとしては、キッチンからランドリー室へも行けるし、ランドリー室から廊下やファミリークローゼット（FCL）へもつながっているので、空気が循環しやすいことや、家事動線としても非常に便利です。さすがにトイレと脱衣室には扉は設けましたが、もしかしたらファミリークローゼット（FCL）の扉は、無くてもよいかも知れませんね。



順を追って解説してきましたように、このような間取りにすることで、最低限として必要な玄関ホール、トイレ、脱衣室＋ファミリークローゼット以外の全ての空間がワンフロアとなり、冷暖房効率が良く、各スペースの温度差が出にくい間取りが完成しました。



また家事動線も便利で、いつでも家族の気配を感じる空間のつながりを大切にしたいというご夫婦のご希望にもマッチしています。もしかしたら、今後は各スペースを細かく区切るのではなく、可能な限り扉は設けずにワンフロアで効率よく暮らしたいという方が増えてくるかも知れません。何か気になることがございましたら、遠慮なくご相談ください。