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家づくり研究室

【暑さ対策】湖南市|古民家に学ぶ夏の暑さ対策。現代住宅に生かせる断熱法

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

年々厳しさを増す夏の暑さ。ここ数十年、夏の猛暑日は確実に増加を続け、私たちの健康を脅かすほど・・・。これから家を建てるなら、夏の暑さへの対策を軽視してはいけません。

このコラムでは、住宅の構造段階で行う暑さ対策の工夫についてご説明していきます。ヒントは「古民家」。もともと日本の古民家では、とても理にかなった暑さ対策がとられてきました。
その知恵を現代に合わせて進化させた対策をお伝えします。

家の中で熱中症になる方が増えている昨今。老後も安心して快適に過ごせる家を手に入れるには、家を建てようとしている今がチャンスです。先人の知恵を借りつつ、末長く家族の健康を守れる家をプランニングしていきましょう。

[目次]

1. 不快な暑さの原因は「日差し」

2. 現代に生かす古民家の知恵その1:「屋根」

3. 現代に生かす古民家の知恵その2:「窓」

4. 「屋根」と「窓」の暑さ対策はセットで考える

5. 災害級の猛暑から家族を守る家づくりを

不快な暑さの原因は「日差し」

暑さ対策を紹介していく前に、家の中に不快な熱が入ってくる原因を説明します。暑さの元凶を知ることで、どこに対策をとるべきかみえてきます。

夏の暑さの原因は「強烈な日差し」。ギラギラと照り付ける太陽が家の中に熱を侵入させます。光を受ける屋根の最高温度は70度を超え、光が差し込む窓は熱の主な侵入経路になっています。

暑さ対策がしっかりとられた家づくりのポイントは「屋根」と「窓」の工夫です。家に不快な影響を及ぼす熱を入れないためには、この2ヵ所に工夫をしてあげることが必要です。古民家では、大きな茅葺屋根で熱の侵入を防ぎ、長い軒や庇(ひさし)、すだれや庭木は窓付近から入ってくる日差しを遮断していました。

日差しの影響を受けない家が快適な住宅になることは昔と今も変わりません。
昔の知恵を現代に生かし、暑さ対策を考えていきましょう。

現代に生かす古民家の知恵その1:「屋根」

屋根の暑さ対策において、重要なポイントは通気性と断熱性を高めること。屋根を通過した熱がそのまま室内に入ってきては、2階がサウナのような状態になってしまい、快適な生活はおくれません。通気性を高めることで屋根が受けた熱を冷まし、断熱性の高い屋根で天井への熱の侵入を防ぎます。

実は、古民家の特徴である茅葺屋根の素材である「茅」は現代からみても優れた断熱材と言われています。分厚い繊維を集めた茅葺屋根は通気性に優れ、熱気を外に逃がします。さらに、熱吸収効果を持ち、断熱性能も高かったのです。これらの性能を現代に生かしていくことが暑さ対策のカギになります。

まず、通気性を高めるために通気層を設けましょう。通気層とは屋根材の下部に取り付ける空気の通り道のこと。ここを通る空気が屋根で受けた熱を吸収し、棟から排出してくれることで、室内への熱気の侵入を防ぎます。

次に、断熱性を高めるために屋根か天井のどちらかに断熱材を使いましょう。どちらも断熱材が厚いほど効果があり、少なくとも高性能グラスウールで300mm厚程度、理想的には400mm程度が必要です。

現代に生かす古民家の知恵その2:「窓」

家の断熱性能を高めるほどに窓の日よけは重要になります。熱が侵入してくる主な入り口は窓。全体の70%もの熱が窓から入ってきています。「夏を快適に暮らす」という目的において、窓の日よけは完璧に防がなければなりません。

日差しは時間や方角によって差し込む角度が変わるため、1つの対策では完璧とは言えないため、何種類かの方法を組み合わせる必要があります。

古民家では、昼間に南側から差し込む高い位置からの日差しを防ぐために長い軒や庇を設置し、西側と東側の低い位置からの日差しには、庭木で光をある程度遮り、もれた日差しはすだれで完全にブロックしていました。

長い軒や庇は今でも実用的な暑さ対策ですが、隣家と密接しているような地域や、おしゃれなデザインの住宅では、設置が難しいこともあります。そうした場合は、外付けブラインドやシェードなどを取り付けて日差しを防ぎましょう。

現代住居において窓ガラスの選択は大切ですが、遮熱型ガラスでも太陽熱を半分ほどしか遮断できません。古民家で庭木とすだれの2段構えで日差しを防いでいたように、窓ガラスと外付けブラインドで2段構造にしておけば安心です。

「屋根」と「窓」の暑さ対策はセットで考える

屋根と窓の暑さ対策は、どちらかだけでは不十分です。屋根の断熱性能を上げても、窓から熱が入ってきてしまっては、室温の上昇は防げません。窓の日よけ対策を万全に行っても、2階の不快な暑さはなくなりません。

日差しを室内に入れないようにする工夫は、言い換えれば家の中の熱を外に逃がしにくい工夫ともいえます。どこからか熱が入ってしまえばその熱がこもり、室温を上げてしまいます。

屋根と窓の暑さ対策は必ずセットで考えるようにしましょう。

災害級の猛暑から家族を守る家づくりを

今ほどではないにせよ古民家でも暑さ対策がされていたことを考えると、昔から家づくりにおいて夏の暑さが課題になっていたことがうかがえます。

エアコンがなかった時代を乗り越えてきた暑さ対策の知恵は、便利になった現代でも確実な効果を期待できます。便利な生活に慣れてしまった我々だからこそ、家づくりの時点から根本的な暑さ対策を考えていくことが大切です。命の危険もある夏、涼しく快適な家で安心に暮らしていきましょう。

次回のコラムでは、現代の代的な暑さ対策である「エアコン」と高断熱住宅の関係について説明していきます。

さらに研究を重ねる

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