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家づくり研究室

草津市【パッシブデザイン】設計ルール(2)間取りの重要ポイント

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

自然のチカラを最大限に家の設計に生かすことを「パッシブデザイン」と呼びます。前回は、それを実際の物件に落とし込んだ設計ルール「窓編」についてご紹介。

>リンク:「パッシブデザインの設計ルール(1)太陽を味方につける窓」

今回はその続編、パッシブデザインの成否を分ける「間取り」について、私たちが蓄積してきたノウハウを分かりやすくルール化してご紹介します。これから省エネ住宅を建てようとお考えの方は、ぜひ窓編と併せて参考にしてください。

[目次]

パッシブデザインにおける、間取りの設計ルール

(1)家の形は「総2階建て」に近づける

(2)各部屋の通風を確保する

(3)玄関で外気の流入をブロックする

(4)隣が迫っているときはリビングを吹き抜けにする

(5)屋根形状は「片流れ」もしくは「切妻」を選ぶ

(6)家の配置は日照を最大限に考慮する

「太陽の力」がパッシブデザインを成功に導く

パッシブデザインにおける、間取りの設計ルール

(1)家の形は「総2階建て」に近づける

初期コストを抑えて快適な省エネ住宅を建てたい・・・その想いに応える家の形として私たちがおすすめするのは、「総2階建て(1階と2階の面積の差がほとんどない)」の家。


「総2階建て」は、凹凸が少なく一階部分の屋根も不要なので、材料費や工事の手間を省くことができます。つまり家自体の性能は損なうことなく、初期コストを大幅に抑えることができるのです。

また廊下が少なくコンパクトであればあるほど、ムダな熱損失が抑えられるのもメリット。構造的にシンプルなので耐久性にも優れ、家を建てた後の維持コストが安いことも魅力です。

(2)各部屋の通風を確保する

部屋の通風計画も大切です。これができていないと、春や秋といった気持ちの良い季節でも自然の風が通らず、エアコンに頼らなくてはいけなくなってしまいます。
通風を確保するには、各部屋に2方向の通風を設けること。中部屋の場合はランマをつけたり、通風窓を採用しましょう。

(3)玄関で外気の流入をブロックする

玄関は、もっとも外気が入りやすい場所です。それを踏まえて注意したいことは3つ。
1つは、気密性の高い玄関扉を選ぶこと。片開きドアもしくは親子ドアがおすすめです。引き戸タイプは気密性が低く、夏は暑さ、冬は寒さが入り込みやすいので避けるようにします。

2つめは、玄関ホールに風除室的な役割を持たせること。風除室とは、外気の流入を緩和するために玄関前に設けられる小部屋で、寒冷地などでよく見かけるもの。寒冷地ではなくても、外気が流入しやすい玄関は、風除室的に機能するよう考えておくのが得策です。
具体的には、玄関ホールは生活空間とは隔離すること。玄関に吹き抜けは設けないことなど。少しの配慮で、家族が帰宅するたびにエアコンが「強」になる事態を避けることができます。

3つめは玄関の配置について。玄関は道路に面した面、と思い込んでいませんか?必ずしもそうしなければならないことはありません。間口に余裕のある南向き敷地の場合、一番日当たりのよい正面を玄関にするのは大きなムダ。
せっかくの太陽エネルギーをじゅうぶん生活に活用するため、まずはリビングなど家族が過ごす部屋を優先して配置し、玄関の位置はそれから決めるようにしましょう。

(4)隣が迫っているときはリビングを吹き抜けにする

パッシブデザインで大切なことのひとつは、太陽光を活用すること。しかし隣家が迫っているなどで南側にスペースがない場合、家自体の日照をじゅうぶん確保できないことがあります。
そんなときは、リビング上部を吹き抜けにすることを検討しましょう。

高い位置から採光することで、明るく開放感のある部屋になり、太陽光の恩恵をしっかり受けることができます。ただし吹き抜けはエアコンの暖房効率が悪くなりがちですから、その点については別途、対応法を計画しておくことをお忘れなく。

それでも日が当たりにくいという場合は、リビングを2階に配置することも検討しましょう。リビングは家族が一番長く過ごす場所ですから、かしこく太陽の力を利用して、明るさ・暖かさを確保することが重要です。

(5)屋根形状は「片流れ」もしくは「切妻」を選ぶ

4方向に屋根面が分かれている「寄棟屋根」は、屋根裏にこもった熱や湿気を外へ逃がす「棟換気」が不足する可能性があるためおすすめしません。

屋根の形状は、「切妻屋根(三角形の屋根)」か「片流れ屋根(切妻屋根の三角形の頂点で切ったような形)」がおすすめです。シンプルな形なので雨漏りの可能性も少なく、工事費を安く抑えられるのもメリットです。急すぎる勾配は工事費が割高になり、後々のメンテナンス費用もかかるため、ゆるやかにしておくと良いでしょう。

(6)家の配置は日照を最大限に考慮する

敷地内に家をどのように配置するかは、パッシブデザインの要となる「太陽光」と相談して決めます。たとえば南に対し敷地角度が45度のように極端に振っており、かつ敷地面積が充分に広い場合、建物を斜めに配置することも有効な手段です。


それでは敷地が有効に活用できないと感じるかもしれませんが、広いけれど日が当たらず暗くて寒い家よりも、コンパクトでも一年を通じて快適・省エネで暮らせる家のほうが、住んでからの満足度が高いことは私たちが保証します。

庭や屋根の配置についても、家の日照を考慮して決めます。たとえば南面にカーポートを設置するなら、南面窓とカーポートの屋根がかからないような配置に。
また1階リビング南面窓の前には、奥行の広い庭を配置します。すると驚くほどリビングが明るくなり、暮らしの省エネ性、快適性をアップさせることができるのです。

「太陽の力」がパッシブデザインを成功に導く

間取りを考える作業は、家づくりのなかで最もワクワクする部分ですが、同時に頭を悩ませる部分でもあります。なぜなら、間取りは建ててしまうと気軽に変更できないから。
ですから、新しい家での生活をリアルに想像し、納得いくまでシミュレーションしてみることが欠かせません。

特にあなたが快適な省エネ住宅を建てたいと考えているなら、家族の生活導線、家事導線を考えるのと同じくらい、「日照」についても考慮しましょう。パッシブデザインの成否は「太陽の力をどのくらいムダなく使えるか」にかかっていると言っても過言ではないからです。
家のプランニングで迷ったら、「太陽の光をより活用できるのはどっちか」という視点でも、ぜひ検証してみてください。

さらに研究を重ねる

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